ちょっとだけ抱き締めて後ろあたまをぽんぽんしてあげて、またベッドに寝かせて額に冷却シートを貼る。

「泣かないでいいから。
ほら」

あやすように布団を叩いてあげたら、そのうち英人は眠ってしまった。

「……寝た」

この間に帰ってしまってもいいが、起きたらまた泣いて呼びだされそうだ。
それは面倒だし、それに。

「なんか変な性癖に目覚めそう……」

弱り切った英人にそれじゃなくても調子が狂うのに、さらに幼児化。
熱のせいだとわかっているが、新たな扉を開いてしまいそうで、怖い。

「とりあえず、と」

しばらく食べるものを作っておいてやろうとキッチンへ向かいかけ、洗面所で山になっている洗濯物が目に留まった。

「洗濯くらいしなさいよ」