「そ、傍にいてくれ。
お願いだ、ひとりにしないでくれ……」

半泣きで英人がそんなことを言うなんて私の想定の中にはない。
これってなにかの前触れ?
でも、いつも威張っている彼のそんな姿が、気の毒だった。

「ちょっと買い物行ってくるだけだから。
すぐに戻ってくる。
おとなしく寝ててね」

「うん、うん」

ぐずぐず泣いている英人は、子供みたいでちょっと可愛い。

近所のスーパーでいろいろ買い込んで戻る。

「ただいま」

「まりの、まりの」

帰ったら英人はまだ、ぐずぐず泣いていた。

「淋しかったのかなー?」

うん、うん、と英人が小さく頷く。

「傍にいてあげるから、いまは寝ようねー」