夕飯は食べていけと滝島さんが準備をしてくれていた。
路さんから化粧とヘアスタイルのレクチャーを受けている間、なにかやっているなーと思ったら料理をしていたらしい。

「滝島はほんと、マメよね」

トマトとモッツァレラチーズのカプレーゼ、エビときのこのアヒージョ、アサリのパエリヤとあとはアボカドのサラダ。
それにお酒はほどよく冷えた白ワインだ。

「こんくらい、誰だって作るだろ」

「少なくとも私は作んない」

くぃっと路さんがワインをあおる。
私もこんなに洒落た料理は作らない。

滝島さんの料理は美味しくて、ついつい食もお酒も進む。

「滝島はー、ほんとはー、茉理乃ちゃんが好きでしょー?」

ぐるぐるワイングラスを回している路さんは、目が据わっていた。

「丹沢姐サン、飲み過ぎ!」

目の前の瓶をそろーっと回収しようとした滝島さんだけど、路さんに奪われて失敗に終わった。