「んー、一応、ね」

路さんが私に向かって意味深にウィンクした。
確かにあの服はよかったが、そんなことしてもらっても買う勇気はないんだけどな……。

次に来たお店は、私がよく来るラインくらいのお店だった。

「はい、じゃあこれ着て」

「はい」

また一セット受け取り、試着室へ入る。

「あれ……?」

着てみて、違和感を覚えた。
色も形も似たようなスーツ。
そんなに差異はないはずなのに……?

「どう?」

「はい……」

カーテンを開けて路さんの前に出る。
少し離れたところから見るとさらに、違和感がはっきりした。
さっき着たスーツは身体に比較的ぴったりフィットし、身体のラインを美しく魅せていた。
でも今度のは今日着ているリクルートスーツよりはましだが、なんだか少しだぼっとして野暮ったく見える。
サイズはあっているはずなのに。