「結局、このやり方だと担当個人にかかってくるということになりますよね。
ならばいままでどおり、申請制の方がいいのでは?」

容赦なく、小泉さんからも質問の手が上がる。
でも、怯んでなんかいられない。

「確かに、そのとおりです。
担当個人の人となりを信じてくださいとしか言えません。
ですが自由を与えることによって、より身近に感じてもらうことはできます」

「身近に、ねぇ」

懐疑的な小泉さんにさらにたたみかける。

「商品を企画し、作り、売り出しているのは等身大の人間です。
それを消費者には感じてもらいたい。
現に他社では……」

「他社が上手くいっているからと言って、我が社が上手くいくとは限らないでしょう?
その他社さんだってこのやり方では炎上の危険性があるわけで」

さらに滝島さんも質問してきた。
ここで負けたら、本番もきっとダメ。
頑張らねば。

「仰るとおりです。
この運用方法は個人にかけた完全なる賭けです。
ならばその賭け、……私に賭けてみませんか」