――ピンポーン。

「はい!」

不意にインターホンが鳴り、玄関に急ぐ。

「具合わりー」

勝手に上がり込んできた英人の顔は赤く、足もとは若干、ふらついていた。

「なんか昼から寒気がしてくるし。
だりーしさ……」

そんなことを言いながら英人は私のベッドに潜り込んでいく。

「なら帰れば……」

「は?
お前、なに言ってんの?
彼氏が具合悪いって言ってんだぞ?
看病するのが当たり前だろ」

布団に丸まりガタガタ震えている英人は気の毒だとは思うが……は?
当たり前?
この間、具合の悪い私の家に上がり込み、ひとりで騒いだだけでさっさと帰ったのは誰?