走り去るタクシーを見送った。
このプレゼンが成功し、英人とよりが戻れば、滝島さんとの関係は終わりなんだろうか。
それが当たり前なのにどうして私は……嫌だ、なんて思ったんだろう。



土曜日は朝から掃除に洗濯と追われていた。
本当ならプレゼンの詰めをしたい。
けれど英人が来るのなら、部屋を綺麗にしておかないと怒られる。

「晩ごはん、なんにしよう……」

きっといまの、低カロリー薄味の食事じゃ英人は満足しない。
面倒だと思いつつ買い物に出る。
メニューを考えたくなくて、ハンバーグにした。
これにポテトフライと茹でブロッコリーを付け合わせ、コンソメスープでもつけておけば文句は言わないだろう。

「……で、何時に来るんですかね……」

時計はもうすぐ午後八時になろうとしているが、英人からの連絡はない。
いつもそうだから気にはならないけど。
その間に少しでも、プレゼンの詰め作業をする。
明日は予行練習だから、少しでもやっておきたい。