メニューをちらっと見ただけで滝島さんが勝手に注文をしてしまう。
店員がいなくなり、口を開いた。

「どうして滝島さんがいるんですか?」

「は?
お前、LINEくらいチェックしろよ」

「は?」

わけもわからないままに携帯を見る。
そこには残業か、何時に終わりそう?
待ってると滝島さんからメッセージが入っていた。

「……すみません、完全に放置してました」

「だろーなー。
返信どころか既読にもなんねー。
もしかして倒れてるんじゃないかって、あと五分遅かったら会社に踏み込もうかと思ってた」

嫌みのように言って、届いたビールをごくりと滝島さんが一口飲む。

「ううっ、すみません……」

穴があったら入りたい。
こんなに心配してくれていたのに気づかないなんて。

「まー、いいけどさー。
待ってたのは俺の勝手だし」