「あれ……?」

ちょうど手の届くところにあったそれを取る。
真ん中あたりにぺたりとメモが貼ってあった。

【なくなったら買ってくる。
連絡しろ】

「滝島、さん、買ってきて、くれたんだ……」

蓋はすでに一度開けてあり、力が入らない状態でも比較的簡単に開いた。

「あとでお礼、言わなきゃ……」

もそもそとベッドに潜り込み、またうとうとしはじめる。
不意に、家に来たとき、滝島さんが私を名前で呼んでいたことを思いだした。
いつもベッドの中でしか呼ばないのに、なんでだろう……。

――ピンポーン。

眠りに落ちかけていたらまた、インターホンが鳴った。

「滝島さん……?」

――ピンポーン。