それはすぐに、連打に変わった。
うるさい、出なきゃ。
わかっているけど身体を動かすのもつらい。

「茉理乃!
おい、茉理乃!
生きてるのか!?」

「……たき、しま、……さん?」

彼の声でようやく目が開いた。
ずるずると半ば這うように玄関へ向かい、ドアを開ける。

「……は、い」

「茉理乃!」

なんだか知らないけど、ドアの向こうには顔面蒼白な滝島さんが立っていた。

「具合は?
熱は測ったのか?
そんな薄着じゃダメだろ」

私を抱き抱えるように部屋へ戻っていき、勝手にクローゼットを開けて一番分厚いコートを着せる。
素足のままだった足には靴下を。
さらには手に持っていた袋からマスクを出して私につける。

「保険証は」