「大石課長。
それ以上はセクハラです」

下畑さんと同じく、もうすぐ定年間際の日高さんはお子さんを三人も産んで育て上げたせいか、その言葉には有無を言わせない迫力がある。
いつもは黙って聞き流している彼女が口を出すということは、よっぽどだね。

「……すまん」

大石課長はそれっきり黙ってしまった。
でも、確かにあのセクハラ視線は嫌だけど、デブから魅力的な女性としてみてもらえたということは、喜んでいい……のか。
いやいや、やっぱりあれは気持ち悪いから嫌だ。

いつもどおり仕事を進めていく。

「おっ?
おおっ?」

昨日の報告書とフォロワーの数を比べると、劇的に増えている。
さらには欲しいの他に買ったとのリプまで。

「ほら、売り上げに貢献してるし」

なんだかちょっと、気分がいい。
それに昨日のあれのせいか、ツイート申請がかなりスムーズだ。
その証拠に。