「意識、させてやるんだから」

体重も体脂肪率も少しずつ減っている。
このまま綺麗になって、振ったことを後悔させてやるんだから!

「おはようございまーす」

会社でコートを脱いだら、なぜか周りが少しどよめいた。

「どうした、伊深。
色気づいて」

「……は?」

それはセクハラ発言ですよ、なんてツッコミはおいておいて。
なんか大石課長の視線が違う。
ちょっと顔は赤いし、それにいつもは馬鹿にしているくせになんかこう、……ねっとり絡んでくるような。
これはこれで気持ち悪いけど。

「お前意外と……」

「こほん!」

我が課最年長、日高(ひだか)さんに咳払いされて大石課長は言葉を途切れさせた。