【旗持って立ってます!】

それってちょと恥ずかしくないのかな、なんて苦笑い。
待ち合わせの駅であたりを見渡す。
旗を持っている男性……と探し、ひとりの男と目があった。
嘘だと思いたいし、できることならいますぐ回れ右して逃げたい。
けれどこれは、仕事でもあるわけで。

「よう、金曜ぶり」

【ミツミ企画 お正月太り解消の会】

なんて旗を持って立っていた男は、――土曜の朝、私の隣で寝ていた男だった。

「な、なんであんたがここに……!」

「なんでって、俺がミツミだからだけど?
カイザージムの伊深サン」

右の口端だけをつり上げ、くいっとその大きな手で男が上げた黒メタル眼鏡がキラリと光る。
その顔に土曜の朝の二日酔いが遅れてやってきた気がした。

「なんで知って……!」

「金曜、自分で話してたじゃないか、カイザージムの中の人やってるんですーって」