「……ねぇ」

戻ってきた申請書には×印ばかり。
どうして、自社商品をお勧めしてはいけない?
ちなみに理由は、
「うちはそんなことで浮かれるような企業じゃない。イメージが悪くなる」
だ、そうだ。
全く意味がわからない。

「でも、バレンタインと結びつけなきゃいいんだよね……」

ちょっと考えてキーボードを叩く。
一気に企画書を作り上げ、超特急で大石課長に提出した。

「お願いします!」

「そこに置いとけば……」

「いますぐ!
いますぐ目を通してください!」

もうバレンタインは明日に迫っている。
いまさらな気がしないでもない。
でも、しないよりはまし。

「……わかった」