エステはご褒美だから素直に奢られておくけど。

そんなこんなで険悪になりながら戻ってきた車中、最終滝島さんが下したのは。

『わかった。
お前がうちのいい体組成計買え。
それで売り上げが上がって俺の給料も上がり、戻ってくるから問題ないだろ!』

とかいうトンデモ決断だった。

いや、体組成計が一台売れたくらいで滝島さんの給料に直結するなんてことありえないし?
なーんて言えたらいいが、逆ギレ気味な滝島さんに無理矢理納得するしかなかった……。

そういう事情なので、最初の五万五千円の体組成計を買うのだってやぶさかではないのだ。
……うん、さすがに想定のアスレチック代と宿泊費をかなり超えるのは痛いけど。
なのに滝島さんはお手頃のばかりを勧めてくる。

「えっと。
じゃあ、それを買います」

「いやだから、そんな高いの買わなくったって、これで十分だって」