滝島さんは私の恋と仕事の面倒を見てくれているが、どういうつもりなんだろう。
レッスンにかこつけて私を抱くのが目的?
それ以外考えられない。

「身体目的かー」

でも滝島さんなら女に苦労するはずがない。
あの容姿であの身長だ。
まあ、性格が俺様なのがあれだけど、そこがいいって人も多いはず。
性欲発散でも私なんか相手にしなくても、選り取り見取りだろう。

「なんで私なんか……」

時折みせる、苦しそうな、淋しそうな顔。
なにか忘れている気がするけれど、思い出せない。
それを思い出せばきっと、すっきりするのに。

「おかえり」

部屋に戻ったらすでに、滝島さんも戻ってきていた。

「朝食、食いに行くぞ」

「あっ、はい」

前を歩く彼の後頭部を見つめる。
私になにか、言いたいことはないですか。