ちょうど、家族風呂と大浴場と別れる角に来ていた。
私の見つめる、眼鏡の奥の瞳は、私を試しているかのようだ。

「えっ、あの、その。
よ、予約とかは?」

「さっきしてきた。
いまからいいそうだ」

滝島さんとお風呂?
三度肌を重ねた仲なら恥ずかしくない……のか?

「えっと、その……」

「どうする?」

さらに滝島さんがたたみかけてくる。
でも夜のあれはレッスンなわけで、でもこれは?

「その。
……遠慮、します」

「そうか。
じゃあ、俺ひとりで行ってくるわー」

一瞬、彼が少しだけ淋しそうな顔をした気がした。
次の瞬間にはなんでもないように笑っていたけれど。
でも、なんで?

朝の露天は昇ってくる太陽が見えて気持ちいいが、それとは反対に私の心は曇っていた。