両方のベッドに向かいあって座る。

――夜のレッスンはするんですか。

そんなこと、口が裂けても訊けない。
無言で俯く私に、滝島さんも黙っている。

「……なあ」

しばらくの間のあと、唐突に滝島さんが口を開き、背中が大きく揺れた。

「あっちもする、か」

訊いてくれるということは、拒否してもいいということ。
わかっているけれど、私は俯いたまま黙ってこくんとひとつ、頷いた。

「……わかった」

衣擦れの音がして、滝島さんが私の隣に座る。
あごに手がかかり、上を向かされた。

「……茉理乃」

前回と同じで私の名を、滝島さんが愛おしそうに呼ぶ。
ゆっくりと傾きながら彼の顔が近づいてきた。
そして――。