こんな贅沢、していていいのかな……?

「戻りました……」

私が部屋に戻ったとき、滝島さんはベッドに寝転んで本を読んでいた。
こんなところまで本を持ってきて読んでいるのは、なんだか滝島さんっぽい。

「喉、乾いてないか」

「あ、そういえば……」

戻るときに買ってくればよかった、いまから行こうかとか悩んでいたら。

「ほら」

「え、いいんですか」

滝島さんが冷蔵庫から出した、ペットボトルのミネラルウォーターを渡してくれた。

「そうじゃないかと思って買っておいたんだ」

なんでもないふうに笑っているが、なんでこの人はこんな細やかな心配りができるんだろう。
私も、そうなりたい。

「……」