着いたのは白亜の王宮みたいなホテルで、気後れしてしまう。

「そ、ここ。
ここで温泉入って、伊深はエステで身体磨いて、メシ食って、泊まって帰る」

「泊まるってなんですか!?
聞いてないんですけど!?」

「さあ、なんだろーなー」

はっはっはーとか、わざとらしく笑いながら入っていく滝島さんを追う。
アスレチックで汗を掻くし、シャワーあるから着替えとか用意しとけよ、とは言われた。
それが温泉ホテルで一泊だなんて誰も思わないって!

チェックインを済ませ、部屋に案内される。
洋室ツインの部屋だったけれど、外見と同じでどう見ても安ビジホとは違う。
高級リゾートの部屋だ。

「えっ、ここって高いんじゃ……」

急に自分のお財布事情が心配になってきた。
まだ月半ばまでいっていないから余裕は若干あるけど、これで使ったら今月はもやしと鶏胸で過ごさないといけないかもしれない。