「あーちゃん。俺、ちょっと行ってくる」
カレーを食べたお皿を2人で洗い終えた後、春太が聞いてきた。
「うん。どこに行くの?」
「ちょっとそこまで! あーちゃんは、ここで待っててよ?」
春太は、付いてきちゃダメ、というように言った。
「う、うん。わかった」
どうしたんだろう。今まで春太は、夜ご飯の後にどこかへ行くことなんてなかった。
まあ、春太のことだしすぐに戻るだろう。
あたしは、彼を見送ってから自分の部屋に入りベッドに腰掛けて、保管している幼い頃の写真を取り出した。
苺タルトのカスタードクリームを口にべとべとにつけている春太とあたしの写真。
2人で公園で遊んでいる写真。
幼稚園の遠足で、苺狩りに行った時のあたし達の写真。
春太には言えないけれど、これらの写真は絶対に汚したり無くしたりしないように、大切に保管している。
春太は昔と変わらないなぁ、と見るたびにあたしは思う。