海翔先輩は10股とかは当たり前な人。自分もその中の1人にされるなんて……絶対に嫌だ。花帆も他人事だと思って、面白がってるに違いない。

「亜優……早く携帯出せ」

 いきなり呼び捨てにするなんて失礼すぎる。

「諦めて携帯番号を交換したら……」

「でも……」

「だからお前に拒否権はねぇって言っただろう。いいから早く携帯出せよ」

 この人には何を言っても無駄だと観念した、あたしは諦めて鞄から携帯を取り出した。海翔先輩の強引さに負けた、あたしは仕方なく番号を交換することにした。

「亜優、一緒に帰るぞ!」

「は…はい……」

 もう最悪……なんで?こんなことになったんだろう。海翔先輩の印象は、最低最悪な人で軽い人だった。玲司先輩とは正反対。

 海翔先輩は、あたしが一番嫌いなタイプの男の人なのに……何でこんなことになる訳?

あたしはテニス部の見学に行くことなく、仕方なく海翔先輩と一緒に帰ることにした。

「俺は自転車通学してんだけど…後ろに乗るか?」

「あたしも自転車通学なので…」

「そうか…じゃあ帰るぞ」

「亜優が羨ましいな」

 花帆は完全に面白がっている。あたしにとって、迷惑でしかないのに……。

 海翔先輩はあたしを家の前まで送ってくれた。

「明日の朝も迎えに来るから待ってろよ」

 仕方なく「はい」とだけ返事をした。それよりも……海翔先輩はさっき出逢ったばかりなのに、何でこんなに命令口調なんだろう?。あたしは付き合うことをまだ、了解してないのにと思うばかりだった。