自分でもイケメン男子に疎いのは自覚しているけど、流石に『池谷海翔』だけは知っている。
女子から告白されたら、全部受け入て来るもの拒まず去るもの追わず主義という噂がある。
この人にとって『恋愛はゲーム』感覚で、本気の恋愛はしない遊び人なのだ。早く立ち去ろうとすると、海翔先輩に『ちょっと待て』と呼び止められた。
「俺は生徒会長で3年4組の池谷海翔(イケタニ カイト)あんたの名前は?」
そんなこと言われなくても知ってます。あたしは単に礼儀としてクラスと名前だけは名乗る事にした。
「あたしは、2年3組の水口亜優です」
ちょっと、待って……3年4組ってことは、玲司先輩と同じクラスって事。
それなら絶対にこの人と付き合うなんて無理。玲司先輩に誤解されるのは嫌だから……そしたらあたしは先輩に告白出来なくなる。
海翔先輩は、制服のポケットから携帯を取り出した。
「お前も早く携帯出せ。恋人なら番号を交換するのは当然だろう」
「ちょっと待って下さいよ。あたし……先輩と付き合うなんて一言も言ってませんけど」
「お前に拒否権なんてないんだよ。たった今から、俺の女になってもらうんだから」
「あたしには片想いしている人がいるって言いましたよね」
「そんなの関係ねぇよ。俺に惚れさせてやるんだから」
その自信は一体……何処から来るんだろう。ここまで、自信がある人は初めてで関心した。
「亜優、海翔先輩と付き合ってみたら?」
花帆はいきなり変なことを言い出した。