謝った瞬間、男の人は、こっちに近付いてきた。その距離は、数センチまで接近してきた。
「お前、可愛いな!?今日から、俺の女になれ」
はっ!? 何……この人。あたしは彼のブレザーのエンブレムに目を向けると赤だった。赤ってことは3年生だ。
彼は確かに顔はイケメンなんだけど……なんだか軽い人。ちょっと、待って……よく見ると……この人女癖が悪いことで有名な生徒会長の『池谷海翔』だ
それに……いきなり、俺の女になれ!?と言われても困る。それ以前に、今の発言にはかなり引いてしまった。
「あたし、好きな人がいるので、お断りします」
いきなりそんなこと、言われたって……付き合う気になんてなれるはずがない。
あたしは海翔先輩の話を断わって花帆とテニスコートに向かう事にした。
「あたし達、これから行く所があるので失礼します。これから廊下は走りまん。会長すいませんでした」
「ちょっと、待って」
この場を去ろうとしたのに海翔先輩に呼び止められてしまった。
「あんたさ好きな人がいるって……彼氏いんの?」
「彼氏はいません」
「片想いなんだ」
なんだか今の海翔先輩の発言は、なんだか馬鹿にされた感じがしてイラッとした。
「亜優、早く行こう」
花帆があたしの手を取りこの場から去ろうとした。あたしも、早くこの場から立ち去りたかったら、花帆の行動はありがたかった。