『明日から海翔先輩の分も作って来ましょうか』
あれは自然に出た言葉だった。あたしはお弁当を作っている。今になって昨日言ったことを後悔した。
他の親衛隊から反感を買うのでは……ないかと思い始めた。だけど後には退けないので海翔先輩の分も作っている。
ちょっと後悔しながらも二人分のお弁当を作り終えた。学校へ行く準備が終わり、海翔先輩が迎えに来るのを待っている。
昨日あれだけ怒られたから待っていないと、何を言われるか分からない。海翔先輩……早く来ないかな?と思っていた。
なんで海翔先輩が来るのを待ち遠しく思っているんだろう?。昨日の朝はあんなに嫌で先に学校へ行ったのに。
あたしは自分の気持ちが分からなくなった。『亜優、早くしない。彼氏が迎えに来たわよ』とママの声が聞こえてきた。
あたしはリビングから走って玄関に向かった。
「海翔先輩……おはようございます」
「おはよう亜優」
あたし達は横に並んで学校まで自転車を走らせた。そしてあたしは気になっていたことを海翔先輩に聞いてみた。
「あの……海翔先輩。他の親衛隊の人達とは、いつ合流するんですか?」
海翔先輩は自転車を止めて語り始めた。
「親衛隊なら昨日の朝に解散させた。だから来ないし……アイツらにイジメられるんじゃないかとか、そんな心配は一切しなくていいから」
海翔先輩……本当に?今の言葉、信じていいの。
あたしは単純だから――今の信じちゃうよ。
「亜優……遅刻するから早く行くぞ」
「うん」
昨日までは苛立っていたのに……今は海翔先輩と一緒にいるのが楽しい。