崇君に教えてもらった通りに進むと、旧軽井沢のお店が並ぶにぎやかな場所へとたどり着いた。ここからは、タクシーを降りた場所まで戻り、タクシーを捕まえて駅まで戻るだけだ。
しかし、スマホを取り出し時間を見ると、帰りの新幹線の時間まで、六時間近くある。
あまりにすんなりと崇君と会う事が出来てしまったから、崇君の気持ちを知ることができてしまったから、当然の事と言えば、当然のことだ。
いったい、何を考えて、こんな遅い時間の新幹線を予約したんだろう。住所がわかっているんだから、家の前まで行けば本人に会わなくたって、たとえ留守だって、崇君の状況を知ることはできたのに。一時間もあれば全てはわかるのに・・・・・・。
自分でも、自分が何を考えていたのか良くわからない。
軽井沢の駅に降り立ってから一時間ちょっと。町のあちこちから美味しそうな匂いが漂ってくる。
「とりあえず、駅までもどるかな・・・・・・」
私は一人呟くと、太い車通りを目指して歩き続きけた。
しばらく歩いたところで、ちょうどお客を降ろしたばかりのタクシーを見つけた私は、さっと手を挙げて合図する。
仕事帰りに、いつもタクシー利用していたので、タクシーを呼び止める技は心得ている。
ちょうどお客を探していたタクシーは、渡りに船とばかり、すぐに私の横に停車してドアーを開けた。
私がタクシーに乗りこむと、運転手が『どちらまで?』と問いかけてきた。
「駅までお願いします」
おおよそ、私の行き先に察しがついていたらしく、『シートベルトご協力おねがいします』と言うと、運転手は車を発進させた。
一方通行が多いらしく、来た時とは違い、ぐるぐると回り、やっと太い道に出ると、車はスピードを上げて駅に向かった。
駅に戻った私は、ほんの一時ちょっと前に降りた階段を上り、改札口の前まで戻ってきた。空腹に語り掛けるような、釜めしの良い香りがする。
新幹線の時間を変更したいと思うものの、見たところ私の苦手な機械が改札口の傍に並んでいるだけだ。
仕方ないので、私は釜めしを一つ買った。しかし、手渡された瞬間、その重さに取り落としそうになった。
「お客さん、大丈夫ですか?」
驚いた店の人が慌てて落ちかけた釜めしをキャッチしてくれる。
「重いんですね」
私の言葉に、店の人は逆に驚いたようだった。
「うちの釜めしは、素焼きの釜に入ってますからね」
「峠のかまめし・・・・・・」
私は看板をしげしげと見つめながら呟いた。
「お気をつけて」
勢いで釜めしを買ってしまったが、辺りに座って食べる場所もない。かといって、駅の中に入って四時間以上をホームの待合室で過ごすのも気が進まない。
「あの、この辺で、座って釜めしを楽しめる場所はありませんか?」
私の問いに、店の人は再び驚いたような表情を浮かべた。
「なら、アウトレットに行くと良いですよ。ベンチもあるし、芝生もありますから」
そう言って、私が行ったことのない方向を指さした。
「ありがとうございます」
私はお礼を言うと、思い釜めしを手に『アウトレット』を目指した。
さっきは手ぶらだったので階段を使ったが、さすがに釜めしが重いので、エスカレーターを利用した。
駅前の直線の道路にアウトレットのエリアを案内する看板があり、飲食店や土産物店が見える。
私は、勧められたまま、一番近い入り口からアウトレットの中へと入っていった。
幾つかお店の入り口脇に座る場所が用意されていたが、さすがに人通りも多く、釜めしを広げられる雰囲気ではない。仕方なく、私は日頃は興味も持たないバッグや洋服などを売っているお店を見ながら奥へと歩を進めた。
☆☆☆
しかし、スマホを取り出し時間を見ると、帰りの新幹線の時間まで、六時間近くある。
あまりにすんなりと崇君と会う事が出来てしまったから、崇君の気持ちを知ることができてしまったから、当然の事と言えば、当然のことだ。
いったい、何を考えて、こんな遅い時間の新幹線を予約したんだろう。住所がわかっているんだから、家の前まで行けば本人に会わなくたって、たとえ留守だって、崇君の状況を知ることはできたのに。一時間もあれば全てはわかるのに・・・・・・。
自分でも、自分が何を考えていたのか良くわからない。
軽井沢の駅に降り立ってから一時間ちょっと。町のあちこちから美味しそうな匂いが漂ってくる。
「とりあえず、駅までもどるかな・・・・・・」
私は一人呟くと、太い車通りを目指して歩き続きけた。
しばらく歩いたところで、ちょうどお客を降ろしたばかりのタクシーを見つけた私は、さっと手を挙げて合図する。
仕事帰りに、いつもタクシー利用していたので、タクシーを呼び止める技は心得ている。
ちょうどお客を探していたタクシーは、渡りに船とばかり、すぐに私の横に停車してドアーを開けた。
私がタクシーに乗りこむと、運転手が『どちらまで?』と問いかけてきた。
「駅までお願いします」
おおよそ、私の行き先に察しがついていたらしく、『シートベルトご協力おねがいします』と言うと、運転手は車を発進させた。
一方通行が多いらしく、来た時とは違い、ぐるぐると回り、やっと太い道に出ると、車はスピードを上げて駅に向かった。
駅に戻った私は、ほんの一時ちょっと前に降りた階段を上り、改札口の前まで戻ってきた。空腹に語り掛けるような、釜めしの良い香りがする。
新幹線の時間を変更したいと思うものの、見たところ私の苦手な機械が改札口の傍に並んでいるだけだ。
仕方ないので、私は釜めしを一つ買った。しかし、手渡された瞬間、その重さに取り落としそうになった。
「お客さん、大丈夫ですか?」
驚いた店の人が慌てて落ちかけた釜めしをキャッチしてくれる。
「重いんですね」
私の言葉に、店の人は逆に驚いたようだった。
「うちの釜めしは、素焼きの釜に入ってますからね」
「峠のかまめし・・・・・・」
私は看板をしげしげと見つめながら呟いた。
「お気をつけて」
勢いで釜めしを買ってしまったが、辺りに座って食べる場所もない。かといって、駅の中に入って四時間以上をホームの待合室で過ごすのも気が進まない。
「あの、この辺で、座って釜めしを楽しめる場所はありませんか?」
私の問いに、店の人は再び驚いたような表情を浮かべた。
「なら、アウトレットに行くと良いですよ。ベンチもあるし、芝生もありますから」
そう言って、私が行ったことのない方向を指さした。
「ありがとうございます」
私はお礼を言うと、思い釜めしを手に『アウトレット』を目指した。
さっきは手ぶらだったので階段を使ったが、さすがに釜めしが重いので、エスカレーターを利用した。
駅前の直線の道路にアウトレットのエリアを案内する看板があり、飲食店や土産物店が見える。
私は、勧められたまま、一番近い入り口からアウトレットの中へと入っていった。
幾つかお店の入り口脇に座る場所が用意されていたが、さすがに人通りも多く、釜めしを広げられる雰囲気ではない。仕方なく、私は日頃は興味も持たないバッグや洋服などを売っているお店を見ながら奥へと歩を進めた。
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