返事が来ない・・・・・・。
 数えきれないほどの回数の寝返りをうってみたものの、紗綾樺さんからの返事は来なかった。
 たぶん、一時間は経っている、いや、単なる勘違いか・・・・・・。
 考えながらスマホの送信トレイを覗いてみると、やはり一時間ほど時間が経っている。
 昨日、疲れすぎて、まだ寝てるのかもしれない。
 そんなことを考えながら、僕はもう一度寝返りをうった。
 もう一回メールを書くべきだろうか・・・・・・。それとも、今日も会いたいと単刀直入に告げるべきだろうか? 紗綾樺さんから承諾を取った上で、宗嗣さんに許可を取るメールを送ったっていいわけだし。でも、やっぱり、二日続けてだとしつこい男だと思われるかもしれない。
 僕は考えながら、やはりもう一通メールを書いた。
『紗綾樺さん、もし時間があれば、今日も逢いたいです。』
 しかし、結局、送信を押すことはできなくて、そのままスマホを置いた。
 逢いたい。毎日紗綾樺さんに会う事が出来たら、どんなに幸せだろう。
 紗綾樺さんがいる甘い生活を思い描いていると、ドンドンとドアーがノックされた。
「尚生、今日は遅番なの?」
 母だ。
 母には、今回の不名誉な強制有給休暇の取得について説明していないというか、昨晩帰宅した時には母は既に休んでいたので、母は昨日も捜査で遅く帰ってきたと思っているから、翌日、こんなにのんびりと僕が休んでいるのを不審に思っているのだろう。
「あ、有給とってるんだ」
 とりあえず事実なので、嘘はついていない。
「有給? ならいいけど、停職じゃないでしょうね」
 問いかけとも、独り言とも思える言葉に、僕は敢えて返事をしなかった。
 停職ではないけれど、ある意味、この休暇は停職の軽いバージョンのようなもので、とても母には言えない。それを考えると、明日からは毎日仕事に行っているフリをしなくてはならないかもしれない。そうしないと、本当の事を白状させられることになりそうだ。
 学生時代以来の三食昼寝付きを楽しみたいところだったけれど、実際は、三食昼寝付きなんてインフルエンザで寝込んだ時以外、経験したことがない。この場合、正しくは、三食昼寝付きじゃなく、単に寝込んでいたっていうのが正しいわけで、僕は大きなため息をついた。

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