「えー、でもそうですね。現場で聞くと、音の深さとか分かりますし。テレビではわからないこと多いですけど、間違えた所もすぐに分かるくらい響くので」

「さすがプロはよく聞いてるね」

「プロじゃないです。それに、今日も私より凄い人いっぱい居ましたし」

「謙虚だね」

謙虚というより適当に言葉を並べただけだ。
七時間に及ぶたくさんの演奏も、柴田アランの演奏と私の演奏直前の和楽器の演奏しか聞いていないし。

「あっそうそう。飲み物聞いてなかったね!何か飲む?」

その城崎さんの言葉を聞いた私と樹々はメニューを確認。
そういえば前はオレンジジュースだった。

「あたし、レモンティーのアイス!茜は?」

「じゃあ同じので」

樹々の流れで頼んでしまった。
特に飲みたいものもない。

城崎さんはグラスに氷を入れると、アイスティーを注いでくれる。
次にに輪切りのカットレモンをグラスに入れると完成だ。

あっという間にアイスレモンティーは二つ完成して、私達の目の前にグラスを置いてくれる。
城崎さんの姿、何だかカッコいいかも。

そんな城崎さんは今度は樹々に問い掛ける。

「で、樹々ちゃんはどのような企業に入りたいの?」

城崎さんの質問に樹々は少し驚いたのか、一度間を置いてから答える。