「俺と葵で、今度謝りたい」

その言葉を聞いた私は立ち上がった。
そして小学生の笑い声を掻き消すように、私は声を張る。

多分生まれて初めて怒りの叫びを上げる。

「もう二度と私の目の前に現れないで!お願いだから、許してよ!」

葵は悪くない。
そして愛藍も悪くない。

彼らが私に謝る必要なんてない。

悪いのは全部私。
だから小学生時代の私へのいじめは、全てあの時の罰のようなもの。
葵を嵌めようとした私に恨みが生まれたから、二人は私をいじめたんじゃないの?

それに昔の愛藍が言ったじゃんか。
『お前のせいで、葵が疑われたんだけど。どう責任とってくれるの?』って。

その責任のために、私は二人の攻撃を全て受け止めたじゃんか。
苦しい日々に涙は一滴も見せなかったし、頑張って耐えたんだし。

と言うより、もうそれで許してよ。
もうあの日の出来事は、思い出したくないから。

綺麗さっぱり忘れたいし、葵と愛藍の関係も思い出したくない。

それが私の今の本音だ。
本当に早くどっか行って欲しいし、二度と私の前に現れないで欲しい。

私は人の幸せを奪う悪魔なんだから。

ホント、お願いだからさ・・・・。

「悪い」

そう言った愛藍は席を立つ。
寂しそうな背中を見せて、彼は私の希望通り休憩室から立ち去って行った。

一方の私はそのまま机にうずくまった。
私の声に驚いて、心配した小学生の保護者達が私の元まで来てくれたが、私は顔を上げなかった。

その先のことはあまり覚えていない・・・・・。

・・・・・・。