「勉強出来ないと、進学も就職も出来ないよ。この前の期末テスト、大丈夫だったの?」

案の定、私の言葉に樹々は怒り出した。
何だかいい気分だ。

「うるさい!進路の話しは今後禁止!」

「はいはい」

やっぱり今日の進路相談で、何かを言われたみたいだ。
目的地に着くまでの会話も、進路の話しかしていないし。

ちなみに樹々の言葉は主に先生の愚痴が一番だった。
不適切な言葉を、樹々は怒りながら私に熱く語っていた。

確かに樹々の成績は良くない。
なおかつ校則破りのその容姿に、先生達の評価も良くないだろう。
高校三年の七月にして、ようやく進学の危機を感じたのだろうか。

まあ私も実は危ない立場なんだけどね。
成績は平均より少し下と、樹々の成績のことを偉そうに言えない立場でもある。

まともに勉強しないと、私も進学は難しそう・・・・・。

「着いたよ」
その樹々の声を聞いた私は足を止める。

目の前には夏場だと言うのに、イルミネーションを付けた綺麗な店があった。
赤と黄色のお洒落だけど派手な一軒家。

白町カフェと書かれた大きな手作りの木製の看板。
その看板にはカフェ会の詳細が書かれた小さな貼り紙。
この貼り紙あるってことは、ここが会場。

どうやら目的地に着いたようだ。

そして躊躇う私の腕を引っ張りながら、樹々は嬉しそうな笑みを浮かべて店内に入っていく。
コイツ、絶対に性格悪い。