「お前さあ、なんであの時抵抗しなかったんだよ?葵に罪を擦り付けられただけなんだろ?」

あの時。
多分七年前の『黒沼と校長先生に呼び出されたあの応接室での出来事』だろう。

葵が震えた声で真実を話した時のことだろう。

「愛藍には関係ない」

私は震えた声で返す。
と言うか早くどこかに行ってくれないかな。

でも愛藍は続ける。

「黒沼に嫌われていたって言ってもよ、他の先生に言えば良かったじゃねぇかよ。保健室の先生とか。『本当はウサギを死に追いやったのは葵だ』って」

「愛藍には、関係ない・・・・・」

本当にどっかに行ってほしい。

愛藍に話したくない理由は自分の過去の話しをしたくないからだ。
それくらい親友なんだったら分かってよ。

ってかあの時の続き?
気に入らないからまた殴りに来た?

だったら今ここであの時のように殴ってほしい。
それなら私も納得するから。

それが私の前に現れた理由だと理解するから。
あの一件の悪者は私だ。

私が葵にウサギに『花を食べさせたら』と提案したから、葵は花を拾ってウサギにその花を食べさせた。

そして結果的にウサギは死んで、葵は提案した私を訴えた。

だから葵は何も間違った事をしていない。
ただ素直に起きた出来事を語っただけ。

葵は何一つ間違ってないのに。

愛藍は意味が分からない言葉を呟く。