葵と一緒にカフェに帰ると、城崎さんが私に飛び付いてきた。

『よく頑張ったね!』と言っているような、泣き顔ともに私に抱き付く城崎さん。
私は状況が全く理解できなかったけど、『とにかく城崎さんからお酒の匂いが酷い』って事だけはよく理解した・・・。

って、また飲んでるの?

でも他のみんなも城崎さんと同じような表情。
大袈裟かもしれないけど、まるで戦に帰ってきた戦士を迎えるような暖かい表情で私を迎えてくれた。

中でも愛藍は凄く喜んでいた。
『またあの頃の日々に戻れるんだ』と言うように、彼から笑顔が耐えない。

それと愛藍は『コイツからかったら伸びるタイプなんだぜ』と、意味の分からない知識を葵に叩き込んでいた。

ってかマジやめて・・・・。
この場には私をからかう獣が沢山居るのに。

これ以上敵を増やしたくないし・・・・。

ってか私、何も悪いことしてないのに・・・・。

そしてそんな私と葵を歓迎するように、中央の大きなテーブルには大量の料理が並んでいた。
樹々が作ったパンケーキバーガーや、この店の看板メニューであるサンドイッチ。

他にも大きな器に盛られたグラタンや、このカフェでは初めて見るトマトソースのピザ。
それと赤崎祭の屋台で私が作ったスープニョッキもあった。

話を聞くと、私が休んだ赤崎祭二日目の日曜日の売り上げはあまり延びなかったとか。
『突然降ってきた雨の影響で、お客さんの足がピタリと止まった』って、私の変わりに屋台番をしてくれた桔梗さんが苦笑いを浮かべて答えてくれた。

だからこのスープニョッキは赤崎祭の残りらしい。

そして城崎さんは『来年の一月からこのカフェはリニューアルオープンする』って言っていた。
それが今の私には何を意味するかは分からないけど、賑やかになることは想像できた。

だって葵もいるし。
草太もいる。

更に言うなら、小緑や瑞季の親友の瑠璃や砂田もいる。
愛藍や橙磨の親友の桜さんや美空さんもいる。

それに樹々のお母さんの杏子さんもいる。
だからまだまだ私達のアジトには人が集まるってことは理解できた。

気が付けば仲間がいっぱいいるし、暫く笑顔が絶えない日々が始まるだろう。

そして楽しい夜はあっという間に過ぎていく。
思った通り、料理は取り合い。

この前同様に美味しい料理を振舞ってくれる東雲さんと、その娘である桔梗さんが作ってくれた料理に私達は釘付け。

草太や向日葵の目は輝くし、樹々と一緒に居た花菜も葵と一緒に料理を頬張っていた。

一方でカウンターに置かれた惣菜パックが入ったスーパーの袋が気になるけど、大丈夫何だろうか?
『誰かその惣菜という晩御飯を待っている人は居ないのか?』と私は思いつつも、葵と花菜の手は止まらない。

気が付けば料理は全て無くなって、時刻も夜の十時を回ろうとしていた。
飲み過ぎて潰れた城崎さんをソファー席に寝かせて、みんなで後片付けをする。

明日も学校ということで、私達は解散する。
みんなに笑顔を見せて、私達は城崎さんと若槻一家を残してカフェを後にした・・・・。

そして私は笑顔で家に帰宅。