「はい、じゃああたしの説教は終わり。あとは二人で話し合って。あたし達、先にカフェに帰るから」

樹々は先ほど地面に置いたスーパーの袋を拾うと、花菜と共に闇の中に消えていく。

その樹々に続くように、他のみんなもこの場を後にした。
愛藍だけは私達の様子が気になったのか、何度も振り返っていた。

さっきの怒った表情とは別で、不安げな表情を私達に見せていた。

一方で再び二人っきりになった私と目の前の葵。
静まり返った闇の中は、水が流れる川の音だけが聞こえる。

もう冬だからか、虫達の声は聞こえない。

そんな中、私は目の前の葵と目が合った。
葵は身長が高く、私と比べたら頭一つ分は離れているだろう。

だから背の低い小柄の私は、彼と目を合わせるのも一苦労。
私は空を見上げるように顔をあげる。

昔から容姿は全然変わらず、まるでイケメンモデルような外見。
それと心優しい性格。

昔は女の子によくモテていたから、きっと今でもモテているんだろう。
一昨日ダンスを見せてくれた時も、彼に黄色い声援が飛んでいたし。

そのイケメン男子の名前は江島葵。
七年前まではずっと一緒に過ごした私の親友だ。

愛藍も含めて、いつも三人で一緒に行動した。

何より昔から大好きな存在だ。
心の底から信用していた葵が、私の目の前にいる。

私の大好きな江島葵がここいる。
そんな葵に、私は言葉を投げ掛ける。

この瞬間何が一番適した言葉なのか分からないけど、ふと思い付いた言葉を投げ掛けた。

七年間ずっと思っていた疑問を葵に問い掛ける。