お互い沈黙が流れた。

聞こえるのは周囲にいる小学生の元気な声。
楽しそうに会話をしている。

そんな中、私はずっと愛藍から目を逸らしていた。
握り締めるように持つ自分の携帯電話を見つめる。

でもそれは愛藍も同じ。
私から目を逸らすと、休憩室を走り回る小学生を見ているようだった。

なんだか落ち着きがない。

と言うか愛藍、本当に何しに来たんだろう。
どうして私に声を掛けたのだろうか。

ピアニスト桑原茜として?
それとも桑原茜の親友として?

それともまた攻撃しに来たの?

何度も言うが、目の前にいる男の子は間違いなく柴田愛藍だ。
でも七年前の柴田愛藍とは明らかに違うというのは、私にも分かった。

それは手を見れば分かる。

愛藍の手は震えていた。
まるで何かに脅えているようにも見える。

怖いもの知らずの愛藍だからこそ、その光景はあまりにも印象的だった。

そんな愛藍は重たい口を開く。
私達のもう一人の親友の名前を口にする。