「だから、そんな目で僕を見ないでくれる？さっきも言ったけど、僕はウサギにはノータッチだし。全て桃花が世話していたし。僕も小緑からその日記を見せてもらうまで、本当に小学校のウサギのことを知らなかったし。何より僕、小学校時代は不登校だったから、殆ど小学校で過ごした記憶がないし。申し訳ないけど、本当に僕もわからなかったんだ。勘弁して」

そんなことを言われても納得できない私。
引き続き不満げな表情を橙磨に送っていた私だったが、突然現れた鬼のような恐い愛藍の表情に私は畏縮する。

恐い表情で私を見下ろす愛藍の視線が気になったから、川島兄妹のことはすぐに忘れてしまった。
気になる『不登校』という言葉も忘れてしまった。

そして愛藍は私を追い詰める・・・・・。

「さーて茜。もう逃げられないぞ。ウサギ事件で食べさせた花は『ナズナ』と言うウサギが食べても大丈夫な花。おまけにウサギは『老衰死』ってわかった。もう言い訳は出来ないが、逆に次はどんな言い訳をするんだ？」

愛藍は恐い顔付きでそう言うが、それは他のみんなも同じ。
山村姉妹もまるで、『どんな言い訳が飛んでくるんだろう』と言っているような不気味な表情を浮かべている。

もちろん橙磨さんも同じだ。
橙磨さんも私をからかう時の不気味な笑みに変わっていた。

でも葵だけはただ心配そうに私の姿を見ていた。
かつての親友が言いたい放題言われて、混乱しているような葵の不安げな顔。

一方の私は、いつの間にかみんなから視線を逸らしていた。
下を向いていた。

同時に言い訳を考えていた。
もう考える必要なんてないのに、無意味な思考をフル回転させる。

みんなの期待通り、言い訳を考える。
バカな私を見せてしまう。

・・・・・・・。