「無実?」
今度はその言葉の意味を考えようとするも、怖い表情の愛藍よって妨げられる。

私に近付いて、まるでそのままゲンコツしような勢いで私を馬鹿にする。

「お前は本当に馬鹿なのか?一回その何にも入っていない頭を開けて、脳みそ入っているかな確かめてやろうか?あ?」

そして私は本当にゲンコツを食らった。
怖い表情と共に、私の頭を何度も叩き続ける。

って叩くな!

「ちょ、愛藍!痛い痛い!」

私の声は愛藍には届かない。
彼は無視して、私を叩き続ける。

まあ軽くだけど・・・・。

同時に彼は笑顔を見せると、無実の意味を教えてくれた。

「喜べよ。学校は『お前らが食べさせた花が原因だ』と思ったみたいだったが、『違う』って意味だ。死因は正直言ってまだ分からないけど、『茜と葵が食べさせた花が食べさせても大丈夫な花なら、ウサギは花が原因で死んだ』って言えねーだろ?つか、早くその事に気付けよ」

「えっと、つまり・・・・・」

「葵くんは無意味に茜ちゃんをいじめていたってこと。冤罪の茜ちゃんに、罪を与えていたようなもの」

混乱する私だったけど、何故だかその紗季の言葉だけは直ぐに理解できた。
そして私は反論する。

「待ってよ!だったら、ウサギの本当の死因は?それが分からな以上、私達の容器は晴れないし!もしかしたら、本当に花が原因で死んだかもしれないし。葵が食べさせた花に毒が付着してかもしれないし」

何言っているんだろう私。
その言葉を理解して納得したら、葵の顔も見ることが出来るのに。

何もかも解決するって言うのに。
愛藍は呆れた表情を私に見せる。

「いや、それを言い出したらキリがないじゃん。つか葵、お前スッゲー茜に嫌われてんな。茜は意地でもお前を犯人にしたいみたいだぞ」

「そうじゃなくて・・・・」

愛藍の言葉に私は否定する。
葵はかなり落ち込んだ表情を見せているが、『今はそんなのどうでもいい』と思うふざけた自分がいる。

同時に、『親友に恩を仇で返す』最低な私がいる。

「だいたいそのみんなの証言、本当か分からないし。もしかしたら私に気を使って嘘ついているかもしれないし」

なんで私がここまで否定するのか、正直自分でもよく分からない。
どうして仲間を信じることが出来ないのか、よく分からない。

あれだけ『頼って』と言われているのに、最後はいつもの桑原茜に戻ってしまう。

一人で過ごして、『人間が怖い』と思ってしまうあの頃の私に戻ってしまう。

そしてその事を紗季に突かれる・・・・。