「やっべ、なにこの子。可愛すぎ。食べてもいいかな」

潤さんは本当に頭のおかしい人だ。
潤さんも女性なのに、潤さんは小さな女の子が大好き。

そして女の子を見つけ次第、潤さんはナンパを始める。
そんな犯罪間際の潤さんの行動に、『待った』を掛けるのがいつもの俺だ。

「ってこら!この変態!女だからってなんでも許される訳じゃねーんだぞ!」

慌てて俺は練習場の入り口付近で小さな女の子と会話する潤さんの元へ向かう。
痛む膝を庇いながら、その光景に『待った』を掛ける。

と言うか、何でいつもこうなるんだ?
昔からそうだけど、潤さんって男には全く興味がないし。

こう見えて潤さん、国民的女性アイドルグループの大ファンだし。
『アイドルを追う男性達と一緒にコンサートも行った事がある』って言っていたし。

それに『葵きゅんが女だったらホレていたかも』って、訳の分からない事も言ってきたし。

意味が分からない。

・・・・・・。

いや、マジで意味わからない・・・・。

潤さんの背中で見えなかったが、やがて俺は小さな女の子の姿を確認する。
俺に似た顔付きで、俺が作った花のカチューシャを付けた小さな女の子。

潤さんのことが気に入ったのか、女の子は無邪気な笑みを見せている。
小学生低学年らしい可愛らしい笑顔を・・・。

「って花菜?何してんだよ!一人できたのか?」

小さな女の子の名前は江島花菜(エノシマ カナ)。
俺の年の離れた妹だ。

昔の俺に良く似た無邪気な笑顔がチャームポイント。

花菜は笑顔を崩さずに答える。

「うん。お母さんが『帰りが遅いから見てこい』って。あと『晩御飯作るのがめんどくさいから買って来て』って」

そう言った花菜は、母から手渡されたと思う青色の財布を俺に渡した。
どうやら買い出しはマジらしい・・・・・。

「まさかの葵きゅんの妹?ってことは、憎たらしいお兄ちゃん同様に、花菜ちゃんも将来は性格が捻れていくってこと?潤ちゃんショック・・・・・」

何言ってるんの?
この人。

俺はため息を吐くと、花菜を安全な場所に移動させた。
とりあえず『今の潤さんに花菜を近付けたくない』のがお兄ちゃんである俺の本音。

そして再度花菜に確認する。

「本当に一人で来たのか?」

花菜は迷いを見せずに、小さく頷く。
その花菜の姿を見て、またまた俺からため息が溢れた。

ってか、今日は呆れてばっかだな。

何て言うか、『江島葵、もっとしっかりしろ』って神様に遠回しに言われているがする・・・・。