「葵くんもお疲れ様。どう?調子は?」

栗原先生の言葉に、俺は言葉を考える。

でも何故か潤さんが答える。

「最悪っす」

ってかなんで潤さんが答える?
合っているんだけど、その台詞は自分で言いたいって言うか。

何だか俺そのものを否定されている気がするし。

スゲー『敗北感』が溢れるし・・・・。
小さなため息を吐いた俺を見て、潤さんは続ける。

「でも実際最悪じゃん。『親友の自殺を見てしまった』って」

「え?なんで知っているんすか?」

俺は無意識に声を荒げていた。

・・・・・・・。

って、マジでなんで知っているの?
確かあの時のことを知っているのは、俺と茜の家族と若槻樹々と言うずっと茜の側にいてくれた茜の親友くらい。

あと俺がこっそり教えた山村紗季くらいだ。
だから俺は潤さんの言葉に違和感を抱いた。

『なんで少人数しか知らない情報を、桑原茜のことを知らない潤さんが知っているんだ?』って理解に苦しむ俺。

「まあその件に関しては俺もショックだったね。まさか茜ちゃんがそこまで悩んでいたなんて、正直思わなかったし」

そう言う栗原先生も、潤さん同様に何故だかその事を知っているみたいだ。

って、マジでなんで知っているの・・・・?
何がどうなっているのか理解できない俺だが、栗原先生の言葉を聞いた俺は聞きたいことがある。

「栗原先生は、中学から茜の事を知っているんですよね?」

栗原先生は俺達の関係を知っていて、俺と茜の中間に入ってくれる数少ない人物。

だから栗原先生はよく俺に茜のことを話してくれる。
『茜が何している』とか、『茜の好きなこと』とか。

俺達の関係を戻そうと、栗原先生は影ながら協力してくれている。

栗原先生は答える。

「まあね。手の掛かる子だったけど。お兄さんに無理矢理連れてこられたと思ったら、俺とハルを見て怯えていたし」

俺の目を見ながら、優しく話してくれる栗原先生。

だがその隣で、獲物を待つ獣のように俺に食い付く『悪魔』がいる・・・・・・。

「誰のせいで怯えていたのっすか?葵きゅん」

「俺のせいっすよ!わざと俺をからかわないでください」

潤さんの言葉に直ぐに苛立ちを覚えた俺は、大きな声で反論する。
華麗なダンスを見せてくれる生徒が驚くほど、大きな声で潤さんに反論する。

栗原先生も『性格は悪い』と聞くが、俺にとっては潤さんの方が性格が悪いと思う。
昔からよく弄られていたし、理由もなく攻撃してくるし。

まるで俺を理由もなく弄ってきた茜と愛藍みたい。
俺が何でも信じるからって理由で嘘つきやがって。

アイツら絶対に許さないぞ。