翌日、重たい瞼を擦りながら私は親友の樹々と一緒に学校に行く。

私達は学校に着くと、早速樹々は担任の先生に呼び出された。
数分後に笑顔で教室に帰ってきたけど、『やっぱり内定は取り消しになった』と言っていた。

いつも一緒にいる橙磨さんや紗季は驚いた表情を見せていたけど、樹々は強かった。
辛い気持ちを噛み殺し、『なんとかなるよ』と笑って答えていた。

その笑顔が、また私を少しだけ苦しめる・・・・。

私は紗季とはいつも通り話をした。
七年前の出来事についてではなく、昨日の赤崎祭の会話で盛り上がった。

『就職が決まらないから、このまま白崎さんのカフェで働こうかな』って、冗談混じりに笑顔でそんなことを話していた。

昨日の夜の出来事は、誰にも話していない。
知っているのは私の家族と樹々だけだ。

あと私を助けてくれた葵も・・・・。
あんまり人に言うことでもないし、私自身が言いたくない。

兄のだけど、制服の下にはハイネックインナーを着ているから首元は見えないようにしている。

首の赤黒いアザが見えにように・・・・。

その日の学校は特に何もなく、気が付けば放課後を迎えていた。
そして私は珍しく『進路指導室』に足を運んでいた。

怒られると思ったけど、意外と怒られなかった。
よく分からないけど、大学二次試験というものが二月からあるらしく、その日までに猛勉強したらどうにかなるらしい。

だから『死ぬ気で今から頑張りなさい』と渇を入れられたけど、納得しない自分がいる・・・・・。

だって大学なんて興味ないし。
『とりあえず』という軽い気持ちで入った大学なんて、きっと何も学ぶことなんてないだろうし。

多分また中学のようにボッチ生活になっちゃうし。

となると、消極法で就職になるのだろうか。
でもやりたい仕事なんてないし。

ピアノは好きだけど、あくまで趣味で弾きたいし。
何もせず、ずっとピアノを引き続けたい。

そう思ったら私、一生ニートで生きていきたい。

何もしたくない。
働きたくない。

同時にそんなことを少しでも考える自分を殴りたいと思う自分もいる。

というか、なんで兄も父も私の進路については何も言わないのだろうか。
一度も進路の話をしたことがない。

親なら普通、子供の進学や就職にはうるさくなるものじゃないだろうか。

でもそういえば一度だけ、一度だけ兄が私の将来のことを聞いてきたことがある。