「この際言わせてもらうけど、茜のその考える所がまずおかしいんだよ。茜は完全に被害者なのに、どうして自分が悪いと言えるのか意味が分からねえ。『花でも食わせたら?』って言ったけど、花を見つけてきて実際に花を食べさせたのは、葵じゃねぇのか?全部葵の行動だろ?お前は何も悪くねえだろ?それと『自分が悪い』と思うなら、どうして謝らないんだ?お前『言っていること』と『行動していること』が無茶苦茶だぞ。本当に自分の立場を分かっているのか?」

立場?
そんなのどうでもいい。

考えたくない。

悪いのは私だ。
そこに変わりはない。

私も言葉を返す。

「謝りたい気持ちはあるけど、今の私に葵に会う資格なんてないと思ったから・・・・。だから、せめて七年前の事を調べて本当の事を知ろうと思った。事実が違ったら、私の責任じゃなくなるかもしれないし、葵の顔見て話すことが出来ると思うから」

確かに兄の言う通りだ。
『言っていること』と『行動』が滅茶苦茶なのは自分でも分かっている。

私が悪いから謝りに行きたいけど、葵と愛藍が怖くて前を見ることが出来なかった。

だからこそ、私の事をよく知るお兄ちゃんなら、私の気持ちを理解してほしいけど・・・・・。

・・・・・。

「本当めんどくさい子だな。くだらない己のプライドのために、どれだけの人を迷惑に巻き込んでいるのか、分かっているのか?」

私の思考は兄に一蹴されてしまった。
まるで『どうでもいい』と言うように、兄は再び大きなため息を吐いた。

一方の私は兄を睨み付けた。

「・・・・くだらない?・・・・は?」

「くだらねーよ。そんなの、自分の気持ちを圧し殺して、葵に謝ったらいいだけの話じゃねーか。『会うと気分が悪くなる』とか、自分が弱いだけだし。そんなバカみたいな理由で、過去から逃げてもいいと思っているのか?周りに迷惑かけていいと思っているのか?」

冷酷な兄の言葉に、私は頭を抱えた。

だって、お兄ちゃんは私の味方だと思っていたのに。
私の気持ちを理解してくれていると思ったのに・・・・・。

全てが『反対』だと思った私は席を立って反論した。
大きな声で、店員が心配するような声で私は叫んだ。

「うるさい!どれだけ私が辛かったか知らないくせに。いい加減な事をいうのはやめてよ!」

席の離れたサラリーマンは驚いた様子でこちらの様子を伺っていた。
店員も私達の様子を気にしている。

一方の兄は舐め腐った態度でドリンクを飲み干した。
そのあとの大きなゲップがまた腹立たしい。

そしてまた私を言葉で蹴飛ばす・・・・。