午後七時五十分。
我が江島家の少し遅めの夕食は、すぐに賑かになった。
暗い会話は一切せず、花菜の将来の夢の話で盛り上がった。
花菜は『学校の先生』になりたいみたい。
担任の先生がとても面白いみたいで、『花菜もあんな先生になりたい』と目を輝かせていた。
一方で、俺の夢も聞かれた。
ダンスを引退した以上、俺には夢なんてない。
実家の花屋を継ぎたい気持ちもあるけど、母さんは『とりあえず大学に行け』とうるさい。
だからこそ、勇気を出して『実家を継ぐ』と言えば話は変わると思ったけど、ヘタレな俺にそんな勇気はない。
将来の夢も、適当に言葉を濁した。
ダンスを続けたい気持ちもある。
ダンススクールの先生も、『辞めるのは勿体ない』と声を掛けてくれた。
一緒に踊った山村小緑(ヤマムラ コノリ)という女の子にも、『これからも一緒に踊りましょう』って言われた。
親友の愛藍も『もっとお前のダンスが見たい』と言ってくれるし。
でも現実は無理だ。
俺は右膝を怪我してしまった。
手術をすれば治るみたいだけど、そもそもそんな費用はウチにはない。
生計も苦しく、母のお陰で花屋は人気があるのは確かだが、収入源はあまり良くない。
母も深夜も働こうかと考えているみたいだし。
だから、俺にはダンスを続けられる余裕がない。
潤先生みたいに教える立場の人間も考えたけど、やっぱり自分も踊りたいって言うか。
見ているだけじゃ、多分我慢できないし。
そう思ったら俺、ダンスが大好きなんだなって思った。
小学六年生からずっと一筋でやって来た俺の唯一の長所だし。
我が江島家の少し遅めの夕食は、すぐに賑かになった。
暗い会話は一切せず、花菜の将来の夢の話で盛り上がった。
花菜は『学校の先生』になりたいみたい。
担任の先生がとても面白いみたいで、『花菜もあんな先生になりたい』と目を輝かせていた。
一方で、俺の夢も聞かれた。
ダンスを引退した以上、俺には夢なんてない。
実家の花屋を継ぎたい気持ちもあるけど、母さんは『とりあえず大学に行け』とうるさい。
だからこそ、勇気を出して『実家を継ぐ』と言えば話は変わると思ったけど、ヘタレな俺にそんな勇気はない。
将来の夢も、適当に言葉を濁した。
ダンスを続けたい気持ちもある。
ダンススクールの先生も、『辞めるのは勿体ない』と声を掛けてくれた。
一緒に踊った山村小緑(ヤマムラ コノリ)という女の子にも、『これからも一緒に踊りましょう』って言われた。
親友の愛藍も『もっとお前のダンスが見たい』と言ってくれるし。
でも現実は無理だ。
俺は右膝を怪我してしまった。
手術をすれば治るみたいだけど、そもそもそんな費用はウチにはない。
生計も苦しく、母のお陰で花屋は人気があるのは確かだが、収入源はあまり良くない。
母も深夜も働こうかと考えているみたいだし。
だから、俺にはダンスを続けられる余裕がない。
潤先生みたいに教える立場の人間も考えたけど、やっぱり自分も踊りたいって言うか。
見ているだけじゃ、多分我慢できないし。
そう思ったら俺、ダンスが大好きなんだなって思った。
小学六年生からずっと一筋でやって来た俺の唯一の長所だし。