ルビコン

「一人になりたいのに、一人で生きていけないって、ただの馬鹿じゃん」

私は小さく呟くと同時に鼻で笑った。

だって可笑しかったから。
面白かったから。

『そんな人間、生きてても意味なくないかな?』って思ったから。

・・・・・・・・。

そっか、私が死ねばいいんだ。
私が死んだら、何もかも解決するんだ。

一人で生きていけない奴は、生きている価値なんてないんだ。

なんでこんな簡単なことに気付かなかったんだろう。
悪魔は早く退治しないとまた犠牲者が出ると言うのに。

私は今日ずっと着ている制服のポケットから携帯電話を取り出す。
そしてインターネットを使って、急いでとあるワードを検索した。

『自殺したい』

検索して最初に出てきたページには、知らない電話番号が乗っていた。
『こころの健康相談』とか書かれているけど、興味がない。

私が今一番知りたいのは、今すぐ死ねる方法だけ。
電話と言えば、私の携帯電話には着信が二十件も来ていた。
今となっては関係なから、特に『誰から着信があった』とか確認はしていない。

見てももう意味ないと思うし。

検索したページの項目を一つ一つ確認してみたけど、特にいい情報は載っていない。
載っていたのは自殺する人への、強い生きるメッセージばかりだ。

一応読んでみたけど、心に響くものはなかった。
どうでもいいと思った。

だから、この言葉で検索しても無駄たと思った私は検索ワードを変えてみる。

『簡単な自殺』

すると首吊り自殺という言葉が出てきた。
気になった私は何も考えずにそのページを開く。

やり方は簡単だった。
首吊り縄を高い所から吊るして、そこに自分の首を掛けるだけ。

縄なんてないけど、タオルやマフラーでも出来るみたいだ。

でもこの部屋に吊るす場所なんてないし、高さもない。

それにマフラーは二階の私の部屋にあるし、タオルも洗面所。
痛む体を起き上がらせて、取りに行く元気は残されていない。

だけど首吊りはドアノブとベルトの二つだけで出来るみたいだ。

父の部屋の扉にはドアノブもあるし、隣には父のベルトが落ちている。

どうやら諦めるには早いようだ。

早速私は痛む体を起き上がらせて行動する。