「昔の不良って、葵と愛藍のことですか?」
「ああそうだ。何を言っても聞かないし、校則を平気で破ろうとする。だがその点お前はまともだったけどな。アイツらの『濡れ衣』を着せられたこともあったが、それは社会でもよくある。社会に出る前に経験して良かったじゃないか。お前も高三なんだろ?」
確かに当時の私達は不良だ。
周囲を困らせるかとしか考えていなかったし、黒沼を始めとした先生に何度も怒られた事がある。
二人と比べて私は何もしてなかったけど、私も一緒に怒られていた記憶がある。
ってかなんかもう黒沼の言葉の一つ一つが爆弾みたいだ。
いつ爆発しそうか分からない言葉を、一方的に投げつけられているだけ。
必死に私も処理しているけど、『爆発寸前の爆弾』は投げ返す。
「『濡れ衣』って、ウサギの一件ですか?」
「なんだ覚えているのか。でもそんなくだらないことより、今は進路の方が大切なんじゃないか?どこに行くのか決まったのか?進学?就職?」
そんなくだらないこと?
ごめん、本当にこの人大嫌いだ。
でも私は恐がりの羊だ。
天敵の狼が目の前にいるのに、立ち向かおうせずに狼の機嫌を損なわないようにするだけ。
『嫌いだ』と言っておきながら、恐くて縮こまってしまうのが現状。
「・・・・まだ決まってません」
私は怯えた声でそう答えると、黒沼は人を舐めるような表情で笑った。
「おいおい、もうすぐで今年が終わってしまうぞ。立派な制服着ているのに、そんなんじゃ金だして学校に行かせてもらっているお父さんやお母さんが泣くぞ?もっと頑張らないと」
その言葉が私の心に突き刺さる。
まるで鈍器で殴られているような言葉に、私は一瞬だけめまいがする・・・・。
『いい加減なこと言わないでください!』その一言さえ言えたら、私の気持ちは晴れるのだろうか。
私にはお母さんはいない。
なのに、なんでそんなことを言えるんだろう。
私が『お母さんという言葉に苦しんで生きている』って、なんで大人のに分からないのかな?
保護者懇談会はいつも新品のスーツを着た兄が来ていたのに。
黒沼も覚えているはずなのに・・・。
それとも、わざと?
わざと私をからかっているの?
何のために?
なんで私をいじめるの?
だがそんなことを黒沼は全く気にせずに、黒沼の視線は私の隣の樹々に移った。
終始私と黒沼の会話を、不安げに聞いている樹々。
「君はどこか就職とか決まったのか?」
そして突然黒沼に話題を振られて、樹々は動揺していた。
「まあ、はい・・・・。食品会社の半田物産って所で」
「ほお、そりゃすごい!ここらじゃ有名な会社じゃないか。その会社なら、将来は安泰だな」
樹々は首を傾げた。
そして私の方を気にしながら、彼女は小さな苦笑いを浮かべて答えた。
「そうですかね?あはは」
樹々は何度も私の顔色を伺っている。
まるで私の心を読んでいるように、樹々の表情が時々深刻になる。
「ああそうだ。何を言っても聞かないし、校則を平気で破ろうとする。だがその点お前はまともだったけどな。アイツらの『濡れ衣』を着せられたこともあったが、それは社会でもよくある。社会に出る前に経験して良かったじゃないか。お前も高三なんだろ?」
確かに当時の私達は不良だ。
周囲を困らせるかとしか考えていなかったし、黒沼を始めとした先生に何度も怒られた事がある。
二人と比べて私は何もしてなかったけど、私も一緒に怒られていた記憶がある。
ってかなんかもう黒沼の言葉の一つ一つが爆弾みたいだ。
いつ爆発しそうか分からない言葉を、一方的に投げつけられているだけ。
必死に私も処理しているけど、『爆発寸前の爆弾』は投げ返す。
「『濡れ衣』って、ウサギの一件ですか?」
「なんだ覚えているのか。でもそんなくだらないことより、今は進路の方が大切なんじゃないか?どこに行くのか決まったのか?進学?就職?」
そんなくだらないこと?
ごめん、本当にこの人大嫌いだ。
でも私は恐がりの羊だ。
天敵の狼が目の前にいるのに、立ち向かおうせずに狼の機嫌を損なわないようにするだけ。
『嫌いだ』と言っておきながら、恐くて縮こまってしまうのが現状。
「・・・・まだ決まってません」
私は怯えた声でそう答えると、黒沼は人を舐めるような表情で笑った。
「おいおい、もうすぐで今年が終わってしまうぞ。立派な制服着ているのに、そんなんじゃ金だして学校に行かせてもらっているお父さんやお母さんが泣くぞ?もっと頑張らないと」
その言葉が私の心に突き刺さる。
まるで鈍器で殴られているような言葉に、私は一瞬だけめまいがする・・・・。
『いい加減なこと言わないでください!』その一言さえ言えたら、私の気持ちは晴れるのだろうか。
私にはお母さんはいない。
なのに、なんでそんなことを言えるんだろう。
私が『お母さんという言葉に苦しんで生きている』って、なんで大人のに分からないのかな?
保護者懇談会はいつも新品のスーツを着た兄が来ていたのに。
黒沼も覚えているはずなのに・・・。
それとも、わざと?
わざと私をからかっているの?
何のために?
なんで私をいじめるの?
だがそんなことを黒沼は全く気にせずに、黒沼の視線は私の隣の樹々に移った。
終始私と黒沼の会話を、不安げに聞いている樹々。
「君はどこか就職とか決まったのか?」
そして突然黒沼に話題を振られて、樹々は動揺していた。
「まあ、はい・・・・。食品会社の半田物産って所で」
「ほお、そりゃすごい!ここらじゃ有名な会社じゃないか。その会社なら、将来は安泰だな」
樹々は首を傾げた。
そして私の方を気にしながら、彼女は小さな苦笑いを浮かべて答えた。
「そうですかね?あはは」
樹々は何度も私の顔色を伺っている。
まるで私の心を読んでいるように、樹々の表情が時々深刻になる。