そこに写っていたのは、私の親友の山村紗季の姿だった。
相変わらず映像はボヤけているけど間違いない。

ここにいる山村小緑そっくりの、山村紗季お姉ちゃんが映っていた。

やがて樹々も理解したのか、希望に満ちた晴れたような明るい表情から土砂降りのような絶望に満ちたような表情に変わっていた。

そしてそれはみんなも同じ。

特に小緑は現実に理解できないのか、手が震えていた。

声も震えていた・・・・・。

「な、なんでお姉ちゃんが映っているの?お姉ちゃんがウサギを殺した犯人なの?さきねぇが茜さんを苦しめる悪魔なの?」

小緑はそう呟くと、図書室から逃げるように飛び出した。
目の下を真っ赤に染めながら・・・・。

どこに行くんだろうか。
外は雨だ。

それにもうすぐ夕方の五時になる。

小学校の貸し出し時間は五時までだから、時間になったら出ていかないといけないのに。

「お、おい!ちょっと探してくる」

舌打ちを一つ、愛藍は小緑を追いかけて小緑同様に図書室から出ていく。
愛藍は私同様に『何が何だかわからない表情』を浮かべていたけど、緊急事態に彼はその表情を噛み殺していた。

残された私は信じられない現実にただ呆然としていた。
樹々も信じられない表情を浮かべていたけど、我に帰った彼女は隣で私を慰めてくれる。

『何かの間違いだよ』とか『この子が紗季と決まった訳じゃない』など。
自分も辛いはずなのに、必死に私を励ましてくれる。

烏羽先生は想像していた事態に、ただ私達の様子を申し訳なさそうに見ていた。
そして烏羽先生は映像が映し出されたノートパソコンを片付けると、とても低くて怖い声で語った。

「言っただろ?これが現実だ。俺も正直言って信じられない。この時点で『誰が犯人』とかは言えないけど、山村紗季も事件に関わっていた事がわかった。山村の姉は、自分が事件に関与していると言ったことはあるか?」

烏羽先生の言葉に、私は首を小さく横に振った。

確かに紗季はこの事についてはいつも慰めてくれるだけ。
小学六年生の保健室登校の時は、暗い私をいつも励ましてくれた。

そして高校生に入っても関係は変わらなかった。
情けない私をいつも笑顔で見守ってくれていた。

だからこそ信じられない。
紗季自身から一度も『自分が一件に関与している』って言っていなかったし。

いつも『頑張れ』て言ってくれた親友だからなおさら。

・・・・・・。