再び静まり返った図書室で、私は集中しようと決めた。
時間は午後の四時二十分。

でもそれを邪魔をするように、また足音が聞こえる。
それも段々大きくなっている。

『誰か来たんだ』と、私は再び図書室の入口に視線を移す。
『また黒沼かな?』と嫌な予感が予感もしたけど、今度は烏羽先生が図書室に入ってきた。

ノートパソコンを片手に、私達に笑顔を見せてくれる。

でも何故だか烏羽先生の声がさっきより元気がない。

「よお、熱心だな。ずっと調べていたのか?」

「烏羽先生?もしかして」

「あ、ああ・・・。結果か出たぞ。例の監視カメラの映像のな」

小緑の言葉に、烏羽先生は曖昧な表情でそう答える。
同時に持っていたノートパソコンをテーブルに置くと、そのテーブルにみんなは集まった。

「どうだったのですか?茜が犯人じゃないって証明されました?」

目を輝かせる樹々の声に、烏羽先生の表情が曇る。
そして一呼吸置くと、烏羽先生はこの映像の結末を告げた・・・・。

「犯人は正直言ってわからない。この映像を見る限りでは、『桑原と江島が犯人だ』と言いきれない。ウサギが死んだ原因は、他にもあったととも考えられる。仮に花が原因でウサギが死んだとしても、犯人は桑原と江島とは限らない」

難しい烏羽先生の言葉に私は混乱。
つまり、どう言うことなんだろう?

「それって、『茜のせいでウサギが死んだとは限らない』ってことですか?花が原因なら、他にも犯人候補がいるってことですか?」

樹々の言葉に、烏羽先生は小さく頷いた。

というか、今の樹々の言葉はどういう意味なんだろう。
『他にも犯人候補がいる』って。

その言い方だと『私と葵以外にもウサギに花をあげた人物が居る』って意味にも聞こえる。
烏羽先生は小さく頷きながら答える。

「まあそうだ。だから映像を見てほしいのだが・・・・・」

烏羽先生は何故だか小緑の様子を伺っている。
横目で小緑を見ては視線を逸らし、また小緑の表情を確認する。

まるで小緑がその犯人候補で、彼女を庇うように・・・・・。

って、そんな訳ないよね?

それにウサギが死んだ時の小緑はまだ幼稚園児。
小学校に入学していないし。

あり得ない。

『あり得ない』と無理矢理納得した私は、烏羽先生の表情が真剣な表情に変わっている事に気が付いた。

まるで『ここからが本題だ』と言うような引き締まった表情。