黒沼は花菜の元まで駆け寄る。
そして花菜の腕を掴んで無理矢理立たせると同時に、図書室から連れ出そうと腕を引っ張った。

「早くこい。反省文書いてもらう。これ以上俺の邪魔をするな」

花菜は泣き叫びながら抵抗していた。
こんなの許されていい光景じゃないのに、私はただ怯えて花菜の様子を見ていた。

本当に今の花菜が昔の自分に思えて、脳が凍りついてしまった。

恐怖と言う言葉に包まれてしまった。

だって、この後は色々な先生に怒られるし。
いじめられていることには一切触れられず、勝手に学校に入った事だけを怒られる。

そして明日もまたいじめられる。
以後その最悪のループの繰り返し。

ふざけた教師のせいで、一人の女の子の人生が狂わされる。
そんなの絶対に許されないのに、私も絶対に許さないのに・・・・・。

・・・・・・・。

「ま、待ってください!その子が言う通り、本当にいじめられているんです」

愛藍は花菜を連れ出そうとする黒沼の前に立ち塞がる。
震えた声で黒沼を説得する。

でも何を言っても無駄だと、黒沼は教えてくれる。

「柴田、悪いがお前の言葉は信用できない。人をいじめていた人間の言葉、誰が信じる?自分の意思だけを貫いた人間の言葉、誰が信用してくれる?」

本当に、糞みたいな教師だと改めて思う。
愛藍の昔の印象だけで、愛藍の言葉を一切受け入れない。

今の愛藍は心優しい少年なのに、どうして黒沼は現実と向き合おうとしないんだろう。

そんな糞みたいな大人、本当に大嫌いだ。
『自分の意思だけを貫いた人間の言葉、誰が信用してくれるか』ってお前自身のの事だろうが。

許せない。
絶対に許さない!