「いや、これ紗季だ」

「え?まじ?」

樹々は改めてその写真に写る人物を確認する。
数秒後樹々も納得したのか、最後は『本当に紗季だ』と小さく呟いた。

そして紗季の写真が写っていた本の表紙を確認したら、六年前の西暦と『六年生』と書かれた題名。
どうやら私達卒業生に配られた『卒業アルバム』とはまた違う卒業アルバムのようだ。

多分写真好きの先生が勝手に作ったニセ卒業アルバム。

「ってことは茜もいる?」

突如樹々は目を輝かせて、卒業アルバムをめくり始めた。
沢山の生徒が写った写真を一つ残らず確認するけど、樹々は私の姿が全てのページに映っていないことに気がついたみたいだ。

「あれ?茜がいないじゃん。本当にこの学校の卒業生?」

その樹々の言葉に私は苦笑いを浮かべて答える。

「う、うん。多分私が写っていないのは、ずっと保健室登校だったから。ほら保健室内の写真なんてないでしょ?」

その卒業アルバムは題名通り、全て六年生の時に撮られた写真なんだろう。
六年生と言ったら私、ずっと保健室登校で教室で授業受けていた記憶しかないし。

当時の担任の先生の顔も名前も知らないし。

「あーそっか、ごめん。誰かさんが私の親友をコテンパンにいじめたもんね」

樹々は冷たい目で愛藍を睨み付ける。
また始まるのだろうかと、私は少しだけ警戒するけど・・・・・。

「悪かったって」

「それが人に謝る態度なの?本当にアンタは反省してるの?」

「くそっ!反省してるって!」

「謝るときはちゃんと土下座して謝るのが基本だよ!ほら、やってみてよ!」

「茜にならやるけど、お前が側にいるなら絶対にするか!」

「なんだと!」

案の定また始まった。
本当にこの二人は水と油のような関係だ。

何とかしてこの二人も和解してくれないかな?