ルビコン

ここは一度後にしよう。
何か手懸かりを見つけてからまた来たらいいし。

それにまだ時間はあるから大丈夫だ。
日曜日だし生徒はいない。

きっと殆どの生徒は今頃、赤崎祭を楽しんでいるだろう。

そんなことを考えながら次に向かうのは、飼育委員が色々な餌を保管していた『図工室』と言う教室だ。
小屋の鍵やウサギの餌であるペレッドもそこにはあったから、何か手懸かりがあるはずだ。

もしかしてウサギが死んだ原因は『私達があげた花』ではなくて、ペレッドに原因があるかもしれない。
根拠はないけど、よく考えたら私達が花を食べさせてウサギが死んだ根拠もない。

そう考えたら『ものすごくいい加減な学校の判断』だと私は思った。
証拠もなく私と葵を疑って、最終的に私が悪者扱いされた。

同時に私達の関係が壊れた。
確かに一つの命が失われたから、そりゃ大きな事なんだろうと私も思う。

でも子供みたいに、嘘か本当か分からない言葉に流されて判断する学校の教員達ってどうなんだろう。
その教員達に勉強を教えてもらっている私達はどうなんだろう。

・・・・・。

バカらしくなってきた。考えるのはやめよう。
深く考えるほど気分が悪くなるし・・・・。

裏庭から少し離れた所で、先頭を歩く私はふと後ろを振り返ってみた。
愛藍と樹々は私に付いてきているけど、そこに小緑の姿はなかった。

同時に少しだけ焦る。

まだ裏庭で調査しているのかと思った私は、二人を待たせて慌てて小屋のある裏庭に戻ってみる。
するとそこには小緑の姿があった。

何故だか小緑はずっと空を見上げている。

「小緑?どうしたの?」

「僕ゲームのやり過ぎで目が悪いんです。分からないです」

その小緑の言葉の意味が分からなかった。

小緑同様に空を見上げても何もない。
目立つものは写っていない。

強いて言うなら校舎の二階と三階の窓が見えるだけ。
他に目立った物は見当たらない。

一体小緑は何を見ているんだろうか。

「行こ小緑」

「うん・・・・」

私の言葉に、今度こそ小緑はしっかりついてきた。
私は慌てて樹々と愛藍が待つ場所に戻ろうと急いだ。

そういえばあの二人、まだ話している所を見たことがない。
二人とも私の親友だから、仲良くしてくれたらいいけど・・・・・。

・・・・・・。

理想と現実は大きく異なる・・・・。