「うわっ。酷いね」

樹々の言葉に私は同感だった。

そこはかつての面影はなく、今は雑草が無精に延びきったただの広場。
当時ボロボロだったベンチも、今は雨などの影響を受けてただのゴミとなっていた。

不細工に鉄の骨だけが残っている。

そして肝心のウサギ小屋は雑草で覆われていた。
現在は特に何も飼っていないみたいで、ただそこの古びた小さな小屋があるだけ。

他に目立つものは見当たらない。

「これが例のウサギ小屋だよね?ってかなんで学校にウサギなんかいるの?」

樹々の言葉に私も疑問を抱いた。
そういえばそんなことを考えたことがない。

そんな疑問を愛藍が答えてくれる。

「詳しいことはわからない。ただ俺らがここに入学した時からいたらしいぜ」

『そうなんだ』と私は小さく頷く。
ってか愛藍はどうしてそんなことを知っているんだろう。

「詳しいんだね、愛藍」

「先生がそう言っていただけだよ」

私の言葉に短く答える愛藍は、他に何か手懸かりがないか調べている。
周囲に何かないのか、色んな所を見渡していた。

私も周囲を見渡す。

でも、もう七年前の出来事。
何か手がかりがある方がおかしい。

樹々も私と同じことを思ったみたいだ。

「うーん。でもこんなので当時のことがわかるのかな?七年も前でしょ?当時の他の飼育委員とか連絡先知らないの?」

連絡先か・・・・。
ってか葵以外の飼育委員のメンバーなんて知らないし。

「知っていたら真っ先に事情を聞いているよ」

「だよね」

いいアイデアを思い付いた樹々みたいだったが、私の返事に樹々は肩を落とす。
それに葵と愛藍、そして紗季としか遊んでいない小学生時代の私だ。

クラスメイトの名前も殆ど覚えていない。

「場所変えてみない?他にも回れるところがあるし」

私の提案に樹々と愛藍は頷いた。
あまり調べていないし来て早々だけど、この様子じゃ調べれる所がない。

ウサギ小屋の中も目立った物はないし。
それに寒いし校舎に入りたい・・・・。