私を除いた全員がもうその対象だ。

校則破りの茶髪と薄いナチュラルメイク。
スカートも折って都会のギャルみたいに派手な女の子。

それとピアスの後が残る、見た目も不良少年にしか見えない男子高校生。
それに彼の制服である学ランのボタンも全開だし・・・・・。

・・・・・・。

なんだか、ヤバそうな集団に見えないだろうか。
まるで不良漫画に出てきそうな街のひねくれ者。

普通に制服を着る私が何だか恥ずかしくなってきた。
それとも私が間違っているのだろうか?

「なんですか茜さん。文句ありますか?」

引き続き小緑に冷たい視線を送っていたら、小緑から文句が帰ってきた。

「あると言えばある」

「まさか自分だけ浮いた格好だからとか言うんじゃないですよね?」

その小緑の言葉にイラっときた私は、無意識に自分のスカートを触っていた。
『私も小緑や樹々みたいにスカートだけでも折っておこうかな?』って思ったけど、絶対に違うと思ってため息を一つ吐いた。

付き合ってられないし。

「早く行くよ」

様々な不安が募りながらも、私達は校内に足を踏み入れる。
もちろん私が先頭だ。

昔より校舎が小さく見えるのは、自分の背丈があの頃から延びたからだろうか。

校舎だけじゃない。
体育で逆上がりのテストに苦しんだ鉄棒や、公園のような遊具がとても小さく感じる。

砂場の面積も凄く狭く感じる。
本当に不思議な空間だ。
とても懐かしさを感じるのに、初めて訪れた場所みたい。

小緑は去年までここの生徒だったから相変わらずつまらなそうな表情を浮かべているけど、愛藍だけは違う。
不思議そうな顔を浮かべて周囲を見渡していた。

きっと私と一緒の事を思っているのだろう。
樹々はここの生徒じゃなかったから、何とも思っていなさそうだし。

そんな私達が早速向かった先は、例の現場だった。
私と葵が飼育していた、ウサギを飼っていた小屋がある裏庭・・・・。